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初期の試作品は塩ビ管で製作(左側の2本)

後にヒチリキサックスとなる

Part 5 指穴の数を減らす

 

 マウスピース部は今でも謎の部分があって、作るたびに音が出易いもの、出難いもの、丸い音が出るもの、硬い音が出るものと様々です。


 それに加えて一本一本の竹材の厚み、直径の変化などの違いがその音色や吹きやすさ、音抜けに影響するので、毎回頭を悩ましながら作っています。

 そういう部分はどうにもこうにも経験で克服していくしかないわけですが、楽器としての基本仕様はしっかり固めなければ話になりません。

 それは、指穴の数と運指です。

 楽器としては、マウスピースと指穴だけしかない単純な構造ですから、マウスピースがてきたらあとは指穴を開けるだけです。

 しかし、いったいどの辺りに開ければいいのか?

 当初、プラスチックの装飾用パイプを使って指穴が9個あるマウイ・ザフーンをそのまま小さくしただけの試作品を作ったのですが、思っていた以上に澄んだ綺麗な音色になったので新しい楽器の開発に意欲が湧いてきました。

 とりあえず、それをヒチリキサックスと命名し、篳利胡のプロトタイプとしたわけですが、マウイ・ザフーンと同じ運指では、左手の小指を使わなくてはいけないという問題が解決できません。

 それに本体が短いと左手の指穴が多いため間隔がが狭くなり過ぎて大人では押さえ難くなってしまいます。

 いずれにしても問題になる左手の小指の穴をどうにかして無くさなければいけない。

 それが最も難しい課題でしたが、それが実現できれば運指はともかくリコーダーと同じ指を使うことになるので、必ず扱い易くなると確信していました。

 こうして、左手の小指の穴は無くして指穴を8個にすることを最大の課題として開発を進めることにしたのです。

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