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Part 1 ザフーンとの出会い

 

 ヒチリコは、一言で言えば篠竹の一節の一部からできている小さなリード楽器です。

 

 楽器の分類としてはバンブーサックスという言い方が適当かと思います。

 

 節の部分をマウスピースとして削り出して普通のサックスに使われているリードを取り付けて音を出すのでサックスっぽい音が出るんですよ。

 だから竹でできているサックスということで、「バンブーサックス」なんです。

 

 バンブーサックスの仲間には細い竹から太い竹まで輪切りにしたものをつなぎ合わせて本当のサックスのような形にしたもの(写真上)もあるのですが、見た目は良い割に音域が狭いので本格的な演奏はできそうもありません。

 世界的には他にもいくつか販売されていますがどれも音域が少ないものばかりです。

 民俗音楽的な曲には味があって良いものもありますが、様々な音楽のジャンルを吹きこなすというわけにはいきません。

 

 そんな不完全なバンブーサックスにも30年ほど前に画期的なものが登場しました。(写真中)

 それが、マウイ・ザフーン(最近はザッフーンって呼ぶ人もいます)と言うハワイのマウイ島の竹で作られた一節30cm程度のリコーダー型のバンッブーサックスです。

 

 最近ネット通販で売られているABS樹脂製のポケットサックス(写真下)はマウイ・ザフーンを量産化したものです。

 

 マウイ・ザフーンは1本の短い竹に穴を開けただけの単純な作りにもかかわらず、音色が素晴らしくクロマチック音階で2オクターブの音域を持っている画期的なバンブーサックスです。
 リコーダーと同じC管(ハ長調)なので楽譜の移調をしなくて済むところがいいですね。

 

 このマウイ・ザフーンと出会ったのは渋谷でした。路上でリコーダーぐらいの何だかよくわからない楽器を吹いている外国人かいたのです。その人が日本に最初にマウイ・ザフーンを持ち込んだディーン・リオーニさんという人でした。

 

 路上でサックスのようなクラリネットのような音色が遠くから聞こえてきたので近づいてみると小さなリコーダーのような楽器を吹いているではありませんか。何でこんな小さな楽器がサックスっぽい音を結構大きな音で出せるのか不思議に思いました。

 

 小さくてもバリバリ音が出せるマウイ・ザフーンはサックス吹きにはたまらない魅力がありました。それで1本買ったのがすべてのはじまりです。

 

 ヒチリコは、早い話がこのマウイ・ザフーンを参考にして日本の篠竹や黒竹で作ったバンブーサックスなんです。

 それでは竹の種類が違うだけの単なるモノマネ楽器かと思うかもしれませんが、そうではありません。

 

 マウイ・ザフーンは確かにバンブーサックスとしては単純な構造なのに音色がやたら良く画期的な楽器だと思います。

 しかし、いくつか欠点がありリード楽器初心者にはいささかハードルが高い楽器なのです。

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