Hichiriko
篳利胡
Part 3 マウイ・ザフーンの問題点
横浜のポケットサックス教室に高齢の方が衝動買いしたポケットサックスを持ってきたのですが、いざ持ってみると左手の指穴の間隔が広くて指穴を押さえられませんでした。
しばらく悪戦苦闘したものの、結局どうしても無理とのことで教室で習うことを断念してしまったのです。
大森の教室でも、女性の方がポケットサックスを少しやり始めたものの、やはり左手の指穴がうまく押さえられず、吹いているうちに隙間が開いてしまい音が出なくなることが多々ありました。
それからポケットサックスはマウスピースの開きが広いので息が抜けやすく強く噛まないと音が出ないし、肺活量も必要になるのです。これではリード楽器に慣れていない人はすぐに力尽きてしまいます。
また、マウスピース部がやたら太いためソーセージを咥えたようで普通のサックスを吹く人にとっても違和感があります。
(左の写真で左の太い方がザフーンで右がヒチリコです)
さらに、マウイ・ザフーンの指穴はリコーダーより1個多くて9個あるんです。
リコーダーでは使わない左手の小指も使うためリコーダーのソラあたりの運指が小指の分1音ずれた感じになるので慣れるまでは違和感を感じるのです。
さらにさらに2オクターブ目のソの音と半音下のファ#がまったく同じ運指なので、ファ#を出すときは口の咥え方を微妙に変えてソから無理やり半音下げる必要があるのです。
これでは初心者に限らず上級者でも早いフレーズを吹くことが至難の技になってしまいます。これは楽器としていかがなものかと思います。
このようにマウイ・ザフーンにはいくつか問題点があるため、子どもから高齢者まで誰でも楽しめる楽器ではないのです。
せっかくいい音色なのですから子供から高齢者まで少しの労力で吹けるようにならないものかと思いましたし、あらゆるジャンルに対応できる性能を持たせられないものかと思ったのです。
このようなマウイ・ザフーンの問題点を解決したいとの思いから研究を始め、どうせなら本格的に使える楽器にしようとの思いで試作を繰り返しました。
こうして誕生したのがヒチリコなのです。